スーパーなどで販売されているしじみの大半はヤマトシジミという種類です。ヤマトシジミの生息場所は海水と淡水が混ざり合う汽水域です。砂地に潜り込んで呼吸をしたり植物プランクトンなどを食べる際に、一緒に砂を呑み込んでしまいます。
砂抜きをしないとしじみを食べた時に砂も食べてしまうことになるため、あらかじめ砂抜きをしておくわけです。
しじみの生息域と同じ塩分濃度よりも少しだけ高い、1%の塩水に漬けることでしじみは砂を吐きます。実際にしじみが生息している水域の塩分濃度は0.3～0.5%です。
それよりも高い濃度の塩水に漬けると、しじみは体内の浸透圧を塩水の浸透圧と同じに調整しようとします。そうすることにより、うま味成分や栄養成分をしじみの身に凝縮させる効果があるため、実際の生息域よりも塩分濃度を高めにするわけです。
・水...1L（1000cc）
・塩...10g（小さじ2）
・しじみ...適量
(1)用意した1L の水に小さじ2杯分の塩を入れ、濃度1%の塩水を作ります。
(2)しじみを流水でこすり合わせるように洗い流します。
(3)しじみをなるべく重ねないように並べます。しじみ同士が重なると、上のしじみが吐き出した砂を下のしじみが吸い込んでしまうためです。
そのため、砂抜きにはザル状の平たいバットを使用すると良いでしょう。これは、平らな容器であることでしじみ同士が重なりづらいこと、ザルのような網目状の入れ物であることで容器の底に溜まる排出物を取り込むことを防止できるためです。
(4)頭が少し出るくらいまで塩水を入れます。水が多すぎると窒息死してしまうからです。
(5) 暗い場所に置いておきます。冷蔵庫に入れてしまうと湿度が低すぎて砂を吐かないので気を付けましょう。また、周囲に水を吐き出すため、新聞紙などをかけておくと良いでしょう。
おいて置く時間は夏は3～4時間、冬は4～5時間です。冬場はしじみが底深く潜っていて、砂をより多く呑み込んでいるためです。
一度塩抜きしたしじみは弱ってしまうため、調理する4～5時間前に砂抜きを始めます。
また、水から取り出した後は濡れ付近などで湿り気を与えつつ、3～6時間空中で放置します。二枚貝は水が無くてもエネルギーを得ることができます。その機能がよりうま味成分を増やしてくれます。
注意するポイントは湿り気を与えることです。濡れ布巾をかけておくと良いでしょう。
砂抜きを終えたしじみを一気に全部使用しない場合は、小分けしてビニール袋などに入れておきます。冷蔵庫での保存は夏は3日間程度、冬は6～7日間程度です。冷凍保存の場合は3か月程度まで美味しく食べられます。
冷蔵保存でもうま味成分は増えますが、冷凍保存の方がより増加しますので冷凍保存がおすすめです。
