しじみは二枚貝という種類の貝です。二枚貝は体の左右に一対の貝殻があります。
しじみの左右にある貝殻を、蝶番(ちょうつがい)にある靭帯(じんたい)という弾性たんぱく質が常に開こうとしています。貝柱はそれを防ぐため、引き寄せて閉じる働きをしています。
「加熱しても開かない貝は死んでいる」といわれています。確かに、貝は死んですぐから12時間後までは筋肉が固まり、死後硬直の状態になっているため加熱しても開きません。しかしそれから48時間までの間は筋肉が緩み、半開き状態になっていきます。
そのため、加熱した後に貝が開いているからといって生きているとは限らないのです。
死んでいる貝を調理に使わないためには、死んでいるかどうかを見分けられなくてはいけません。見分けるポイントを確認してみましょう。
生きている貝は冷たい真水で洗い流すと驚いて口を閉じます。
洗ったときと同様に、勢いよくかき混ぜると生きている貝は驚いて口を閉じます。
薄っすらと開いた貝の隙間から出ている白くぬるりとした管を触ってみましょう。生きていれば驚いて貝の中に管を引っ込めます。
死んでからしばらくたち、腐り始めている貝は強烈な臭いがします。料理の香りにも影響しますので、除外しましょう。
貝は加熱するとどうして固く閉じた口を開くのでしょうか。その仕組みは筋肉と蝶番にあります。
加熱すると、貝柱のたんぱく質が変化します。貝柱がぎゅっと縮み、接着力が弱くなるため殻から外れてしまいます。貝柱が外れると蝶番の力が働いて、貝が開くという仕組みです。
死んでいる貝の場合はたんぱく質が腐っているため、加熱しても身が縮むことはありません。そのため、死んでいる貝は口を開かないのです。
冷凍された貝は死んでいます。しかし加熱すると口を開きます。
これは、冷凍することでたんぱく質の腐敗が阻止されること、貝柱を動かすためのエネルギーは残っていることが理由です。
ただし、ゆっくり解凍した場合、エネルギーは別の部分で消費されてしまいます。そのため、加熱しても開かなくなってしまうのです。ですから、冷凍しじみは最初から沸騰しているお湯に入れる必要があります。
死んでいても食べられるのならば、生きている貝と一緒に調理しても問題ないと思うかもしれません。しかし、死んでいる可能性のある貝は貝毒に侵されている可能性があります。
貝毒には下痢や嘔吐を引き起こすものや、呼吸困難を起こし最悪死に至る危険性を含むものまであります。
また、貝毒は加熱しても死なないので、火を通しても意味がありません。
死んでいる貝は除外して調理しましょう。