しじみには肝臓の機能をサポートしてくれる働きがあるため、アルコールを摂取した後にしじみの味噌汁を飲むと良いという話は有名です。しかし実は、しじみにはアルコール分解だけでなくさまざまな解毒作用があります。そのため、しじみは疲労回復や睡眠の質向上などにも活躍してくれるのです。
肝臓では解毒や代謝、神経伝達物質の生成などに関わる働きをしていますが、肝臓の機能が低下すると疲労につながります。
肝臓の機能が低下すると疲労による倦怠感だけでなく、眠りが浅くなったり、なかなか眠れない不眠になるなど、睡眠にも影響が出てしまいます。
しじみに含まれているオルニチンは、肝臓で「オルニチンサイクル」というサイクルに使われます。オルニチンサイクルとはオルニチンがシトルリンやアルギニンに変化しながら、肝臓の細胞内で疲労物質であるアンモニアを分解・排出する代謝経路のことです。
このサイクルでアンモニアは無害な尿素に変換されます。疲労物質が無害化されると疲労回復につながり、睡眠の質も向上するというわけです。オルニチンは、このサイクルを活発にするサポートをします。
しじみに含まれているタウリンにも解毒作用があります。アルコールを摂取すると、体内でアセトアルデヒドという代謝の途中物質に分解されます。この分解過程が肝臓にとっては非常に負担がかかるものなのですが、タウリンは酵素の働きをサポートしてくれるため、肝臓の負担が軽減します。
また、タウリンは胆汁の生成にも関わっています。胆汁を生成する際にコレステロールを消費することから、脂肪の蓄積を防ぎ、肝臓の機能を正常に保つサポートもしてくれるのです。
しじみには必須アミノ酸であるトリプトファンという成分も含まれています。このトリプトファンは肝臓や腎臓ではエネルギー源となりますが、脳に運ばれてからは精神を安定させる働きをします。
良質な睡眠をとるためには、睡眠をつかさどるホルモンであるメラトニンが重要です。メラトニンを分泌させるためには、トリプトファンとビタミンB6を同時に摂取することが重要です。
しじみにはトリプトファンとビタミンB6の両方が含まれています。夜眠るときにちょうどメラトニンを分泌させるためには、眠る時間の14~16時間前である朝食の時間帯にしじみを摂取することがおすすめです。
脳内に運ばれたトリプトファンは、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムなどにより代謝されて、最終的には神経伝達物質であるセロトニンに変化します。
セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンなどの興奮作用のあるホルモンを落ち着かせる効果があります。
精神の不安や興奮を解消することにより、リラックスした状態で眠りにつくことができます。
しじみにはビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれています。ビタミンやミネラルは細胞や組織を構成したり、身体の調子を整えるために重要な栄養素です。
カルシウムは不足するとイライラの原因になりますし、マグネシウムは不足すると吐き気や精神障害などにもつながり、睡眠の質が低下してしまいます。
バランスよく栄養素が含まれているしじみは、睡眠の質を向上するためにも非常に良い食材だといえます。